2012年

8月

26日

2012年08月26日(日) №4 「 新来者カードと受付簿のドラマ 」

きょうは8月最後の日曜日。どなたがお出でになるかなぁ、出だしが悪いかな、等と思いながら招きの言葉による礼拝開始を待った。

 

礼拝は、来会される方が、一人ひとり人生のドラマを抱えて神さまの前に身を置くのだから、神さまを中心にして、そこから紡ぎ出される出来事は予想できないものだと思う。そういう意味で、わたしはいつも、日曜日の教会には、何かが起こるという小さな期待を胸に抱いている。

 

一ヶ月ほど前の日曜日には、数年来礼拝をお休みしていた(正確に調べていないので、どれくらいの時間が経過したのかは分からないが)I姉が、何と、2階の礼拝堂に上がってくると座っているではないか。少し前にお宅をお尋ねして家庭での聖餐式を行った際にも、「足と腰が病んでいたいんです」と沈痛な表情でお話になったばかりだったから驚いた。しかも、家から歩いてお出でになったというではないか。奇跡だと思った。

 

礼拝説教は、いつも講壇に立って、語り始めるまで完成しないと考えるわたしだが、まさに、I姉の姿がそこにあることによって、準備していた説教の内容は新たな言葉に変化して紡がれていった。わたしはそんな日曜日が好きだ。

 

****************

 

きょう、礼拝が始まる10時半の少し前に、見慣れない女性が姿を見せた。幼稚園の教師をされているF先生の後についてお出でになったので、あー、きっとお友だちなのだろうと思っていた。きょうは、旧約聖書の、教会の信仰生活の長い方でも聞き慣れない物語を語っていたわたしの顔を、しっかりと見ながら、一生懸命に聴いて居られる姿が新鮮だった。

 

礼拝の終わりに、報告・お知らせの時間がある。この日の新来会者として紹介されたのがその女性だった。F先生に紹介してもらったほうがいいかなぁ、とわたしが伝えると、「実はきのう入籍しまして・・・・」と言うではないか。後で聞いてみると、園長先生にも正式な報告はしていなかった、という。

 

はにかみながら挨拶する二人に、一同、なんとも嬉しい気持ちがこみ上げてくる。一通りの報告が終わった所で、Cさんの声を聞いていなかったという理由を付けて、ひと言の挨拶を願った。

 

式を待たずに籍を入れて歩み出されたお二人のために、今わたしたちにできることはお祈りすることしかないと思い、祈りだした。お祈りの中でごく自然に「すこやかな時も、やめるときも、愛し、敬い、慰め、助け、互いの最も弱い所を受け入れ、・・・・二人だけで幸せになるのではなく・・・」という言葉が続いた。

 

一階に降りて、二人を待った。二階の礼拝堂では、様々な祝福と励ましの言葉が掛けられていたのだと思う。かなり時間が経って降りてきた二人に、牧師室の前にある長いすにどうぞ座ってと促し、アイスティーを差し出した。

 

花嫁というのか新妻というのか、彼女の目を見るとウサギのように赤い。いや、F先生の目も赤い。そしてF先生の素晴らしい言葉を聞いた。「僕にはもったいない人なんです」と真顔で言う。今思い出しても感動する。嬉しい、美しい言葉だと思う。「お祈りまでしていただいて」と二人は声をそろえて言われたが、いや、お祈りしかできなかったんだよと心の中で答えた。

 

教会は礼拝を中心にする神の民の旅路だ。旅の途中にはさまざまなドラマがある。この日もドラマがあった。二人が集会室にいた人生の大先輩達に挨拶して帰ろうとすると、みんなゾロゾロと出てきた。そして、いろんな形でおめでとうの言葉を贈っている。さらに拍手が続く。二人の門出を祝う拍手が自然に出てくる。うーん、素晴らしい。美しい光景だった。二度とない。今日しか見られなかった出来事だ。

 

皆さんが家路につかれた後、新来会者カードを見直した。カードには、「N・C」とあった。その通りにわたしは教会の皆さんにも紹介した。

 

でも、少ししてから礼拝の受付簿を見ると、きのう入籍をしたばかりの「N・C」さんの名前は、「F・C」と遠慮がちに小さく、でもハッキリと書かれていた。きっと「F」と書いたのは、この場が初めてだったのではないかと思う。

 

お目出度うFさんご夫妻。僕たちは君達と会えて幸せです。神さま、ありがとうございました。

2012年

8月

14日

2012年08月14日(火) №3 「 子どもメッセージが始まった日のこと 」

8月12日は久しぶりに礼拝出席者が20名を超えて、稚内教会としてはにぎやかな日曜日となった。

 

この日は聖徒の日・召天者記念礼拝で、富良野に在住の会員のA姉さんの姿もあった。礼拝が初めてのお嬢さんも連れて来てくださった。Aさんは、平和の挨拶を交わした時だったか、森牧師はもっとゴツイ人だと思っていたら違った・・・と言っておられた。電話で二回、言葉を交わしただけだったが、俺そんなおっさん声だったか、と改めて思わされた次第。

 

札幌からは、おばさまが稚内教会会員だったという関係で、はるばる札幌からひとり自動車を運手されてお出で下さったご婦人Sさんも居られた。この日、一番たくさんお話したのではないだろうか。三浦綾子さんの塩狩峠の主人公に関係する古びた「帳面」を見せて下さったりもした。8年か7年前からとおっしゃっただろうか、悪性の乳がんを患い、紆余曲折を経て今のひと日をひと日を大切にお過ごしだということも分かった。午後の墓前礼拝までご一緒して下さり、ほんとうに有り難く思った。礼拝を守れたことを真に喜んで居られることが伝わって来て、とにかく励まされた。再会をと祈る。

 

朝の礼拝、前から2番目の席には、高一と高三の姉妹の姿があった。夏休みで札幌から、小学校時代を過ごした稚内に帰省していたのだった。二人のDNAには既に教会がインプットされているのを感じた。

 

前日の土曜日の午後にも、祖母のようこさんに連れられてお話をしていた二人。稚内教会の記念すべき、こども祝福=こどもメッセージスタートとなったこの朝、彼女たちよりも小さな子どもの姿は見当たらないので、二人に犠牲となってもらって最前列に移動を願い、数分間のお話をした。我らの国籍は天にあり、と。

 

60年後、まだ80歳前の二人は、おそらく、元気で居てくれるだろう。わたしも含めて、後ろに座って見守るたくさんのおじさん、おばさんたちは60年後はないよ、だから、後は頼んだねと伝えた。そして、やや強引にうなずいてもらった。その後、手を置いて祝福。

 

わたしの視界にはなぜか入らなかったが、祖父母の、ようこさんとしんじさんがその姿を見ていた(はずだ)。新たな希望がわたしたちには与えられたように感じた、めぐみの朝だった。他にも多くのドラマが感じられた日曜日に感謝。

2012年

8月

03日

2012年08月03日(金) №2 「牧師館工事の準備・・・職人さん達」

 4月の着任時、稚内教会ではわたしたち夫婦が暮らすことになっていた牧師館の工事を突貫工事でして迎えて下さった。稚内教会の牧師館は教会の前のバス通りを挟んで向かいにある。三角屋根で壁には十字架があって「ここは教会の建物ですよ」と証してくれているのが嬉しい。

 とりわけ、前任の柳幸三郎牧師ご夫妻のご配慮もあって、早めに空き家にして下さったことで工事は進めやすかったようだ。ただ、今年の稚内は大雪に見舞われたため、三月末頃はまだ外回りの工事は手を付けられなかったとのことで、天気のよい日が続くだろうという9月に入ってから、そして、資金の準備のメドがついてから、第二次の工事を始めることになっている。

 今日は、夕方、もうすっかり顔見知りになっている大工のNさん、設備工事のKさん、さらに、電気工事のOさん、そして、教会役員のKさんも来てくださって、あれこれと相談してくださった。中心になって仕事をしてくださる大工のNさんは、帰り際に「よーし、やっかなぁ」と声を出して、やる気になって居られる様子。嬉しい。

 私は、いわゆる職人さんたちの仕事に触れられるのをいつも楽しみにしている。おそらくそれは、イエスさまが大工だったことと結びついているのだと思う。そして、職人気質・プロフェッショナルの心意気がとても素晴らしいことだと思うのだ。ある時に(少し先輩づらして)夏期伝道実習に来てくれていた後輩の神学生に「プロの牧師であることを大切に」のようなことを話したことがある。果たして、自分がどれほどそうであるのかをわきまえずに・・・。いやはや恥ずかしい。しかし、そのような心意気は失わないように、という気持ちは心の片隅で大切にしていたいとも思う。

 まだ、牧師館の改修工事をして下さる大工さんに、「イエスは、大工だったんですよ」と話していない。機会を見て伝えなければと思う。さて、いつ伝道のチャンスは訪れるだろうか。

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