2016年4月4日(月) NO.221 『 増補版 牧師室便り 11号 ~ 赴任して一年経った~ 』

1年前、2015年3月28日、東京駅前から皇居に向かうあたり。後ろのバスはまさにパリやロンドンで見るバスと同型。
1年前、2015年3月28日、東京駅前から皇居に向かうあたり。後ろのバスはまさにパリやロンドンで見るバスと同型。

1年前、桜の満開はJR東京駅から徒歩10分程の皇居のほとりを歩いている時に迎えた。3月28日の土曜日だった。

 

前任地稚内からの引っ越し貨物(JRを運送会社が利用)の移動に1週間掛かるため、私にとって住み慣れた東京を起点にして、懐かしい人、場所を訪ねたりしていた。

 

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東京駅の近くは世界各地、或いは、日本各地からやって来た人々にとってはまさに観光の拠点で、はとバスをはじめとして皇居付近を走る幾種類ものバスは、パリの中心地であるとか、ロンドンのそれに通じるような雰囲気とぴたりと重なるものだった。

 

一年前の上の写真にある通り。

 

東京都府中心のアパート暮らしをしていた二十歳(はたち)の頃、鍋洗いのアルバイトをした〈パレスホテル〉は懐かしい場所。行く年も前に新装なったパレスホテルはさらに格調高い高級ホテルに変わっていた。

 

ロビーを抜け、一橋方面に向かって歩いているうちに疲れを覚える。目に入ったのは、〈学士会館〉だ。由緒ある建物らしく、喫茶店もなかなか風情があった。珈琲休憩。

 

その後、神田神保町の古本屋街に向かった。神学生の頃から大変お世話になってきたキリスト教専門書店〈友愛書房〉さん。詳細は省くけれど、私はその店頭に座らせて頂いてアルバイトしていた時期がある。

 

友愛書房で働いた牧師は多分多くはない、というかそんな人は居ないのではなかろうか。

 

社長やお嬢さんに挨拶をして、夕方には、高校時代の友人たちと御徒町で顔を合わせ、大笑いして散会した。穏やかな春の散歩だった。

 

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私にも桜の満開には幾つもの思い出がある。姉が41歳で急逝したのは1999年4月3日だった。その年の満開は姉とお別れするバスの中で見た。あまりに美しく悲しい満開で目に焼き付いている。

 

以前牧会した新潟県上越市の高田教会。その直ぐ近くにある高田公園は日本三大夜桜の名所として知られている。関東から観光バスが仕立てられてやって来るような所とはもちろん赴任するまで知らなかった。

 

3000本を超える桜が植えられていると思っていたらどうも4000本のようだ。この増補版を記し始めた頃にNHKのラジオニュースで、その高田公園の桜を見に来ていた少年達のボート転覆事故が流れた。

 

観桜会(かんおうかい)の会場でライトアップされた夜桜は確かに幻想的で脳裏に焼き付いている。散り始めもまた美しく素晴らしかった。毎年、ぶるぶると震えながら桜を観にいった。お化け屋敷や夜店が出ている雰囲気も好きだった。

 

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実は、桜以上に美しかったのが紅葉した桜の葉っぱだった。11月下旬、日本海側では、激しい雷を合図に雪が降り始める。その少し前に、はらはらと降り積もるように、桜のモミジが落ちて来た。何しろ4000本だ。

 

黄色や真っ赤に紅葉した落ち葉を拾いに出掛けて行っては、美しい会堂だった高田教会の片隅に飾った。

 

岡山の桜の満開、今年はどこで楽しもうかと妻と話をしている。まさに今日にでも出掛けないと散り始めるだろう。

 

閑谷(しずたに)学校もよさそうだ。椿の花が落ちる素敵な道もありコラボが見られるかも知れない。

 

市内中心部、後楽園あたりから・旭川の畔を歩くのも楽しそうだ。今年、子どもたちとイースター礼拝と卵さがしをした、観音院の川向こうの向州公園もなかなかの様子。ま、気分転換も兼ねてもう少し遠くに出掛けて見たい。

 

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去年と同じ春を岡山で迎えているのだが、ひとつ、岡山の季節の食べ物の存在を今年はハッキリと知ることが出来て嬉しかった。

 

それは〈いかなご〉だ。広辞苑によれば、【砂の中にすむ近海魚。薄い銀青色で、細長い。春、幼魚を煮干し・佃煮にする。こうなご。】とある。

 

妻が出掛けることの多いスーパーの魚屋さんでは、「今年のいかなごは終わりました」という張り紙が3月29日頃に出ていたようだ。大きくなったらお終い、ということらしい。

 

この春、手作りの〈いかなごのくぎ煮〉を頂き味わった。おいしい。そして、あー、これが瀬戸内の春を告げる風物詩なのだなぁと知った。嬉しい風物詩だ。

 

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昨夏以来、二度目の開催となった「グリーフケアの集い」。3月30日(水)に行った。

 

なにがしかの悲嘆を抱えている方の心の置き場を提供できればと願っての会。この度は、朝夕、教会員以外の方がそれぞれお一人ずつ来会された。小さな学びをし、気軽に語り合った。

 

夜来会されたお一人は初対面の方で、インターネットの検索で旭東教会のホームページ上で案内されている集いに気付きお出かけ下さった。

 

私も検索してみたけれど、岡山市内では、その分野の開かれた集いが見つけにくい状況のようだ。医療従事者のためのグリーフワークの講演会などはあるようだが、継続して、場が提供されていない様子。

 

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旭東教会を会場としての「グリーフケアの集い」。実にささやかではあるけれど、開かれた奉仕の場の在りようについて考える機会にもなった。世の光として仕えるその仕方は様々であれけれど、岡山くらいの大きさの都市というか町であれば、祈り求めれば道が見えて来るかも知れない。

 

言葉にも出来ないような悲嘆を抱える方が、もって生きようのない呻きを、それでもなお誰かに聴いてもらう場所がない。

 

あるいは、どなたかの喪失体験に触れる中で、悲嘆にくれる自分を整える場を求めたいという方が居られること、今回の対話の中で改めて知った。ボチボチと道を求めて行きたいし、良きパートナーが教会の枠を超えて与えられればと願う。

 

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かつて心を尽くしていたことに関連し、一輪の花が咲いた。ある年の秋の夕べ、初めて教会をお訪ね下さり、ゆっくりと求道生活を始められた方が、その後、お住まいになった先の教会で受洗されたのだ。

 

受洗前の信仰告白の場でお話になったと時の原稿が届いたのだが、その言葉に目が潤む。「葛藤もあり不安もあるけれど、神を賛美し、人を幸せにする人生を歩みたいと願っています」とあるではないか。

 

後のものが先になることが本当に起こると思う。歴史ある教会でオルガニストとしてご奉仕される日も必ず来るだろう。

 

「神を賛美し、人を幸せにする人生」という言葉は、わたしの教会音楽の恩師木田みな子先生が彼女にかつて送って下さった手紙の中のフレーズでもあるらしい。

 

さっそく、みな子先生に電話。すると今度は80歳を超えて元気にご活躍の先生が「わたしにとって、宗教音楽は、わたしを生きかえらせるのよ」とキッパリと嬉しそうに語られる言葉に触れた。まいったというか、凄いし感動。

 

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最後におまけのようなお話を。プロ野球が開幕した。40代の新監督達の采配も楽しみだ。いつのまにか、彼らよりも私も年上なのだから不思議。

 

どんなに厳しい練習を積み重ねているチームでも金満体質のそれはどうしても応援したくなくなる。お金がなくても頑張っているチームに惹かれる。

 

最近は大阪・ABC朝日放送のラジオ番組を聴くことが多い。大阪のラジオはエネルギーが凄い。遠慮なく大阪の言葉が使われるし、他の地方では聞けないようなこの世に対する本音の言葉が飛び込んで来る。もちろん、公共の電波であっても、ABCからはタイガースびいきの番組が流れる。

 

岡山は不思議な場所で大阪の電波が普通に届く。四国からも。でも、広島からは届かない。だから、カープの応援には至らない。阪神タイガースの動向が気になる。昨日は藤川が勝利投手になったというではないか。

 

秋までには「六甲おろし」を覚えよう。end

 

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