2015年6月29日(月) № 189 『 愛する牧師仲間たちへ ユ○ク○は程ほどに 』

自然のお花の美しさに驚く。2015年6月28日の朝、こどもの礼拝の席に届けられた紫陽花。教会員のお庭からのもの。
自然のお花の美しさに驚く。2015年6月28日の朝、こどもの礼拝の席に届けられた紫陽花。教会員のお庭からのもの。

いやぁー、お久し振りです。

 

日曜日の朝3時過ぎまで説教の準備ができなくて……というような、駈け抜ける初老の日々のわたくし。

 

就任式を前に、やはり一年目は何かとやることが多い。

 

おまけに、一ヶ月程前の東中国教区の定期総会では補助書記を引き受けることに。お仲間が突然葬儀の奉仕をするため引き受けてしまい、筋肉はつかないのに鍛えられる日々だった。

 

補助書記のお仕事、毎日のお務めを終えてからでないと出来んし、しかも、聞き慣れない東中国教区の事情をイヤホーン越しに聴きながら。やれやれ、やっとのことで、補助書記の任から離れられそうだ。

 

四捨五入で還暦のオッサン牧師に補助書記はイケマセンが経験からの答え。皆さまも安請け合いしませんように。

 

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さてさて、月曜日の朝、つまり今なのだが、久し振りにスッとこの部屋のブログを書けそうなのでkeyboardを打ち始めた。

 

全体は長いのでご注意を。耐えられない方は早めに他のお部屋へと思う次第。疲れていたりイライラしている場合は特に危険かも(笑)

 

なお、下の方の 『「K子プロジェクト」が意味すること 』が、この№ 189の背後にある事柄なので、そっちを先に読んでもいいかもであります。

 

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きのうは午後5時過ぎに、「ロンゲストデーやったなぁ」という声が、教会学校(旭東教会ではJC)のミーティングが終わって暫くすると、お隣にいた超熱心なご婦人から聞こえて来た。

 

「来週はもっと長いなぁ」とも続いた。

 

何しろ、来週は午後3時から就任式という名の礼拝、写真撮影、茶話会と続く。嬉しいこととは言え、ほんと、お疲れさまです。

 

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そんな中、教会の玄関先でガタガタと音がした。

 

91歳の長老が、「K子さんを訪問する連絡が取れました」と待っていて下さった。

 

わたしから相談していたことだし、長老とわたしといつも楽しみにしている訪問だったので、午後7時半頃帰路に着く時も疲れは本当になかった、幸いな訪問だった。

 

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とはいえ、K子さんのことはすごく心配だった。

 

少し無理をしてというか頑張って退院して、ご家族、特に、ご子息の一生懸命な看護・介護のもと、やれるだけやってみるということでお宅に戻ってはみたものの……。

 

長老とボンヤリと予想はしていたが、お身体を思うように動かすことが出来ないK子さん(歩行はかなり難しい、あとはご想像を)。

 

お二階での暮らしも含め、退院から約10日、難渋・難儀の日々と、伝わって来ていた。

 

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お休みになっているお部屋におじゃまし、ベッドの脇に座った私たちにK子さんは時に起き上がって、時に横になりながらお話をし続けられることになる。

 

そんな中、K子さんからすると考えに考えてだったのだなぁと今改めて思う大切なことを、伺ってから20分もしないうちに単刀直入にお願いされた。

 

「先生、……お願いします」と。

 

「はい、わかりました。(長老と)二人で確かに聞きましたから」とわたし。

 

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その後、約2時間近く、あれやこれやと、そのたいせつなことを含めて、三人は話し込んだ。さいごに三人で手を取り合って祈りを合わせるまで。

 

それでである、ここからが、牧師のお友だちには是非のご報告。

 

K子さん、こう仰った。

 

「なんか、きょうは、先生がちがって見えるなぁ、

牧師らしゅう見えるなぁ。

ピシッとして、

いつも教会でそういう格好しとるん?」

 

「だからあんなこと、お願いしたんやろうか」

 

と。

 

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日曜日の夕刻。

 

冷房が効いていたこともあり、この季節、ついつい脇に抱えてしまうことの多い薄茶色のジャケットを着ていた。そしてこれが肝心だが、昨日は、白色のカラーのシャツ(牧師とか聖職者とわかるあれですな!)を着ていた。

 

下は黒系のスラックス。

 

たぶん、誰が見ても、「あれっ、この人は、牧師さん?神父さん?だったのか」と分かる空気は濃厚だった。

 

K子さんをお訪ねするようになってから3ヶ月。

 

少なくとも週に一度は訪問していたとすると、15回近くにはなったと思う。

 

他の子ヒツジたちをおっぽり出してとも言える程かも知れないが、とにかく、一人で、或いは、受洗間もない方を引き連れて、そして、この日の長老と共に訪問を重ねた。

 

けれども、わたくし、牧師の森 言一郎(もり げんいちろう)。

 

そう言えば、牧師らしい格好で病室を訪ねたことは……無かった。

 

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K子さん。長老と私につぶやいた。

 

「教会では、こげん、ちゃんとしとるん?」

 

さすがに鈍なわたしも事情を察した。

 

日曜日の、たとえば、ガウンを着たわたしを知らないK子さん。

 

想像するに、病室を回って来られる他教派のチャプレン的な牧師がスーツにネクタイのようないでたちであるのに較べて、わたしはGパンにシャツ。

 

病院の方から見ても、K子さんの所には、おばちゃんのことが大好きな親戚の兄ちゃんがまた来ている、位にしか見えなかったのだろう。

 

そして、K子さんも、頼りのない、コウゴウシサもない兄ちゃんは想像以上にアリガタミが薄かったことが判明したのだった。

 

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「先生、うちの息子と同じくらいの歳やろ」とK子さん。

 

「ぼくは昭和35年生まれよ……」

 

「息子は41年じゃ、お兄さんやなぁ先生の方が。若くみえたけん、同じくらいかと思うとったんよ……」

 

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人は中身で勝負!

 

できない場合もありますねぇ。

 

外見は大事?

 

確かに。第一印象は決定的かも。そういうこともある。

 

というか、最初は見た目しかわからんものんぁ。

 

やっぱり着るものはすごーくたいせつなのだ。

 

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教訓である。

 

かといって、これからの訪問でスーツを着てビシッとということは少ないかも知れない。

 

しかし、考えて見ればゴクゴクあたりまえのことを、うかつにも、というかやっぱり森らしく、見過ごしていたのだった。

 

だとするならば、あの日、息子さんと出会ったときも、頼りない兄ちゃんにしか見えなかった、のだろう。

 

皆さま、決めるときは決めましょうね!

 

以上、わたしの、取り返しがつかないとは申しませんが、恥ずかしいシマッタの失敗報告でござります。

 

あなたのシマッタもぜひ聴かせてね(^_^)ノend

 

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        『「K子プロジェクト」が意味すること 』
                              旭東教会 牧師 森 言一郎

 

 主人は言った。『通りや小道に出て行き、無理にでも人々を連れて来て、この家をいっぱいにしてくれ。
                      (ルカによる福音書 14章23節)

 はじめまして。4月から岡山市東区、1969年までは西大寺市と呼ばれていた地域にある旭東教会に日本最北の町稚内から参りました森言一郎です。

(中略)

 ……冒頭に掲げましたのは、主イエスによる「大宴会のたとえ話」の終わりの言葉です。ここでの「宴会」。それは私たちの「礼拝」であり「教会」そのものです。いつでも礼拝に行ける。また次があると考えていた人々はそれらしい理由をつけて「宴会」には足を向けませんでした。約束を破ったのです。主人であるイエスは、この時、怒りを露わにして言われました。【通りや小道に出て行き、無理にでも人々を連れて来て、この家をいっぱいにしてくれ】と。
 
 私は今、小さなプロジェクトを立ち上げ、じわりじわりとそのプロジェクトを深めて行こうと努力を始めました。これが楽しい。役員会に報告して命名したわけでもありませんから、身勝手な取り組みですが、それでもキリスト者のわざと信じて励んでいます。

 それは「K子プロジェクト」といいます。
 
 K子さんの体調は決して思わしくないですし、歩くことすらままなりません。福岡から引っ越して来られてから5年程のはずですが、入退院が続いています。旭東教会には福岡県の教会から2012年7月に転入会。しかし、思うにならないお身体のこともあり、教会からも礼拝からも遠ざかっておられました。
 
 しかし、不思議なお導きがあるものです。K子さんと私。なんと以前からの知り合いなのです。というよりも、むかーし、牧師をしていた福岡の教会の会員さんでした。
 
 詳細を記すいとまはありませんが、一度だけ、K子さんがまぶしく輝いていた頃に、私はお目に掛かっていました。色々な複雑な事情があってK子さんを含めて多くの方がその教会を離れてしまったあとに私は赴任したのです。それで、私の顔を?どんな人か、会いに来られたのでした。
 
 あれから15年以上が経過して再会したのです。「ベッドから簡易トイレに移る時必ず看護師を必ず呼んで下さい」と叱られる程に弱られているK子さんがベッドの上におられた。「このままじゃ息子に迷惑かけるばかり、だから……」とK子さんはお目に掛かると度々口にされます。
 
 福音書の中に、担架に乗せられた、ある障がいをお持ちとお見受けする人が、4人の人に運ばれて来て、会堂の屋根をぶち破ってイエスさまの所に吊り降ろされる物語があります。私たちは今、あのみ言葉を生きる者に本気でなりたいと願っています。何としてもK子さんと教会のみんなと同じ空間でご一緒したい。それが「K子プロジェクト」です。そのプロジェクトを牧師独りで出来るはずがありません。ですから、昨年のクリスマスに受洗された3人の方たちをお誘いし、長老と共に入院先のお部屋を訪ねて、K子さんとお話を始めました。
 
 K子さん、「恥ずかしいなぁもぅ」と言われながらも、お話をしていると顔色がみるみるよくなります。元々、お身体は不自由でもお口は軽やかに回るK子さん。
 
 訪問者の一人が、くしくも「おしゃべりセラピーですね」と命名したように、おしゃべりは癒しの力を生み出します。そして、不思議なほど、人生のたいせつな事柄について思いめぐらさせられる会話が引き出される空間が生まれるのです。それがK子さんを囲む時に私たちが経験している出来事です。
 
 これは私たちの宣教のかけらに過ぎないかも知れません。しかし、そのかけらに、私は重みを感じています。
 
 目標を抱きながら生きる時、私たちは希望を見いだせます。新しく生まれ変われるのです。K子さんだけではありません。誰もが同じです。
 
 だから、【無理にでも人々を連れて来て、この家をいっぱいにしてくれ】というイエスさまのお言葉を真に受けて、私たちは少しだけ無理してみたい。ちょっとの勇気を持ち直したい。キリスト・イエスのお言葉ですから、やってみようと思うのです。

 

 

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