魚へんに春「鰆」。
「サワラ」なんですねぇ。
旭東教会のある西大寺近郊のスーパーの魚屋さんに行くとしばしば目に止まっていたのが鰆の切り身、そしてお刺身達だった。
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でも、生まれてこの方、サワラのお刺身があるとは、岡山の暮らし始まって暫くするまで知らなかった。
それは妻も同様の様子。
だからだろうか、スーパーの籠に鰆のお刺身は入れられない。
鰆と言えば弁当のおかずとか、鯖よりも少し上品なお味で味噌漬けにして頂くとかなんだよなぁ、自分的には。
ゴメンナサイね、さわらさま。
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それゆえ、今日のオススメとして並んでいても、どうしても気が進まない。
したがって、わが家の食卓にはアジ、生かつお、鰹たたき、しめ鯖、鰹、アジみたいな順番で並ぶ。
必殺、お刺身を買いにいってもワンパターンになっていた。
時に、稚内から30分、猿払のホタテ懐かしいなぁ、冷玉食べたいなぁとか思いつつ。
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とある地元電鉄系のスーパーの店員さんのBlogでも最近取り上げられていた。
こんな風に。
【最近、サワラの姿(刺身・切身ですよ)が目立ちます。魚に春で、鰆なのですがやはり岡山では初夏の魚のイメージです。瀬戸内に魚島のできる?ころが鰆の旬でしょうか。
ということで、下津井産の鰆があったので購入しました。期待通りの美味しさで満足!まんぞく!
今年の漁獲高はどうなのか気になります~!台風の影響も心配です。魚は海の状況に左右されますので。】
しかしこれを読んでもまだ、食べたことのない刺身はやはり手が出なかった。
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ところがである。
今日の昼前、鳥取教会で、東中国教区総会が行われている最中に、教会のとある方から、携帯の留守録にこんな電話。
「もりせんせい、○○ですが、先生のお好きな刺身、さわらを持って来ました。お留守のようですので、教会の冷蔵庫に入れておきます」
うわぁーい。
鰆のお刺身だぁと心が弾んだ。
これまで買う勇気がなかった鰆ちゃんとついに向き合う日がやって来た。
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日本基督教団の東日本大震災の担当幹事の○島牧師が、人生の先輩ながら、神学校の後輩。
東中国教区総会に支援募金感謝の近況報告に来られていたので、鳥取県庁別館?9階の大食堂に昼食へ。
というか、行き掛かりでそこに辿り着いたのだが。
あっ、鳥取県庁の430円の定食。残りのC定食で十分満足。次回も生きたくなる場所となった。
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○○さんにまずは御礼を妻から伝えて貰おうと電話。
その様子を聞いておられた○島牧師。
東京暮らしのお方のため、「教会員から鰆の刺身の差入れ」がぴんとこない様子。
「刺身が届くんですかぁ?」と声が裏返った。
そう。
地方の教会の恵みはこんなところにもある。
が、牧師館暮らしをしていない○島先生には不可解な知らせの様子だった。
なるほどとあらためて思った。
ぜひ、地方の教会に足を運んでください、と○島先生には伝えた。
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鳥取教会での教区総会は16時過ぎに解散し、動き始めたのが16時半。道に迷って遠回りして、20時過ぎに牧師館に辿り着いた。
いやいや、それで遅れたのではない。
お世話になったとあるご夫妻二組に、近況報告の電話を入れたりしているうちに時間がかかったのだ。
こころにとめてくださっている様子が電話越しに伝わって来る。
ありがたい。サワラが待っていると思うといよいよ声が弾んだか。
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ルンルンとまでいかないまでも、ワクワク感がある夕飯。
写真を取り忘れてしまったが、そこには、美しく盛り付けされた、見たことのないピンク色の切り身の美しい切り身。
あぶらがのっているはずなのに少しもあぶらっぽくないお味。
夫婦揃って言った。
「うまいっ!」
それ以外の言葉がないのだなぁ、ほんとに。食べたことのないおいしさがある。焼き物の鰆とは完全に別物。
旬のもののおいしさは野菜にせよ、魚にしてもすごいなぁと思う。
北海道の秋刀魚も旬に頂くと毎日でも飽きないから不思議だが、まさにそんな感じだった。
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郷に入っては郷に従うは、み言葉で言うとどうなるか直ぐに思いつかないが、やはり、岡山のものをその季節に頂くことが、岡山の人になっていく為の近道だろう。
鳥取の空気もなんともゆるくてよかった。県庁が立ち、JR鳥取駅が直ぐそばにある所とは思えないようなのどかさ。
じわりじわり。ここでの日々が「暮らし」になり始めている。
妻はこれからは鰆のお刺身を「ぴんくちゃん」と呼ぶそうだ。
鳥取のスーパーにはたぶん鰆は少ないのでは、と思う今宵なのである。end