2015年3月19日(木) № 182 『 稚内発 たぶん最終便 何かが変わった 』

稚内北星学園大学の卒業式の一コマ。右端は学長先生。着物姿はキリスト教概論の受講者Kさん。わたしもこの日をもって卒業の積もりで出掛けた。キリスト教概論を担当させて頂き、理事として過疎の北端のでの大学のありようについて考えることができたのは得がたい経験となった。感謝しかない。
稚内北星学園大学の卒業式の一コマ。右端は学長先生。着物姿はキリスト教概論の受講者Kさん。わたしもこの日をもって卒業の積もりで出掛けた。キリスト教概論を担当させて頂き、理事として過疎の北端のでの大学のありようについて考えることができたのは得がたい経験となった。感謝しかない。

引っ越しの段ボールに囲まれ始めたわが家。

 

次の日曜日は稚内での締めくくりとなる礼拝だ。3年前、稚内入りしたのが丁度この頃だった。

 

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妻ともども心の支えとなるお交わりを頂いている父親世代に近い先生(お目にかかったことは一度もない)が居られる。かつて、ある遠い国で2年間暮らして若き学生さんたちに教鞭を執られた方だ。

 

わたし。あるいはわたしたち。

 

稚内での働きへの明確な決心ができたのは、神さまのお声を聴いたからではなかった。

 

その先生がこう励まして下さったのだった。

 

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「言一郎さんの新しい任地が決まりそうだとのこと、よかったじゃないですか。むしろ、おめでとうございます。

 

稚内だからって、びっくりしてはいけません。・・・なに、住めば都というものです。それにどのみち日本の国内、ふつうに日本語の通じる土地で、食べ物等々も基本的には同じものを食べているのだから、どうということはないじゃないですか。

 

むしろ、北海道でないと手に入れにくい魚介類が多く食べられるとか、あそこの春の美しさとか、その他いろいろ、楽しいことはいっぱいあるはずです。

 

 

私は○○に行くことが決まった時、そこで死ぬことになってもいいかな、と思って出かけました。彼らはその土地で生れ、そこで一生を過ごしている。それなら私も、私を必要として呼んで下さった方々と同様に、その地で一生を終えるつもりで行こう、と思いました。

 

・・・人とのつながりというのは、そういうものでしょう。そう思って行ったから、それがおのずと態度にも表れるので、土地の学生たちが最初から非常な親近感をもって接してくれたのだと思います。

 

結果において2年間でその地を去りましたが、それはまたそれ、若いうちは、次々とおとずれる新しさを元気をもってうけいれるものです。

 

・・・新しい場所でゼロからはじめるのは、心理的な緊張も大きなものがありますが、同時に、腐れ縁に縛られるところから解放されて、自分も心機一転、前向きな気持になれるものです。

 

・・・若いうちに東京の大学に就職して、一生東京近辺の大学で無難に暮していたら、今日の私があると思いますか。本を書いたって、ひどくつまらない本しか書けないでしょう。

 

・・・ぼたぼたと重ったるい雪とちがって、稚内あたりだと、さらさらとしたきれいな雪です。それに、冬の寒さの分だけ、暖かい季節が美しい。春は、ぐんと遅めの春ですが、いっぺんにやってくる。春の草花や新緑が、こんなに美しいものか、と改めて知ることになるでしょう。

 

それは、今まで御存じの春とはずい分違って、心に残る美しさです。そして初夏の何とも言えない美しさ。真夏の気分のよさ。暑さにうなされず、夏中さわやかな気分で過ごせるだけでも、ずい分ともうけものですよ」

 

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というような妻宛の(わたしは直接の交流はない先生なので)メールを下さったのだ。

神さまはそのように先生を通して働かれた。

 

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稚内教会から転任することに・・・というお便りを幾人かの方に送った。

 

それに対して、道内にお暮らしのあるご婦人から、裏表にまたがっての、やさしいトーンのハガキが届いた。

 

切り抜いて紹介したい。

 

【北海道を去られるとのこと とてもびっくりしました。末長く稚内におられるのだろうと勝手な印象を持っておりましたので さびしいです。

 

・・・それにしても こんぶ。・・・・・・どれだけの人がこのこんぶ水にとりつかれていることでしょうか。わたくしも 今日も こんぶ水だけのおだしでつくった、さつまいもとごぼうの御味噌汁をおいしくおいしくいただきました。本当に感謝です。これからも、こんぶをほそーく切る作業をするたびに 稚内教会と森先生のことをおもいますよ・・・】

 

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また、横浜のご婦人からは封書が届いた。

 

はじめて見るお名前だったが、利尻昆布ユーザーのD教会のSさんのお知り合いということだった。

 

【Sさんから御教会の利尻昆布をご紹介頂いてからもう一年半も経過したのでしょうか、それ以来、遠い稚内から送られた利尻昆布に親しく交わらせて頂き、料理の脇役ばかりでなく、お勧めの昆布水の恩恵に浴してまいりました。

 

そして何よりこんぶ通信、毎号本当に楽しく拝読・・・。ワンランクアップした美味しい御飯のために、昆布水をせっせと作っております。昆布をチョキチョキと切る度にお目にかかったことのない森先生と教会員の方々がとても身近に感じられました。これこそ神さまから頂いたお交わりだと感謝しています・・・これからも御教会の利尻昆布とのつながりを大切にして行きたい・・・】

 

いずれにも共通しているのは、わたし個人のことではなく、共に存在する稚内教会の人々の顔を思い浮かべて下さっていること。

 

嬉しい。

 

点に過ぎない働きのようで、点と点が線となり、変形の円を生み出しつつある。

 

神さまは生きておられる!

 

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3月22日の礼拝説教は『利尻昆布十グラムの重さ』と題して語る。

 

聖書箇所は、2012年の1月末に、稚内教会にお見合い説教にやって来た時のマルコ12章後半のレプトン銅貨の寡婦の箇所を、もう一度選んだ。

 

この箇所、わたしの特愛のみ言葉。

 

だが、間違いなく、3年と少し前に語ったのとは、全く違う切り口で語ることになると思う。

 

あたらしい言葉がこの3年で与えられていることを誇りに思う。

 

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引っ越しの荷物にあれやこれやの参考書や文献も、新共同訳以外の翻訳の聖書も封印し、しまいこんでしまった。

 

だから、ないない状態の中で、語るべき言葉が与えられるようにと願う。

 

ただし、もしかすると開くかなぁと考えた本が一冊ある。さて、どんな書でしょう。皆さんだったら、特に、同労の方々だったら何を残して説教準備をされるだろう。

 

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漁師さんに挨拶をし、大工さんに挨拶をし、この町のすばらしい洋菓子職人さんのおかみさんに挨拶をし、自動車屋さんに挨拶をし、大学の卒業式で不肖もりのクラスに出席してくれた方たちの顔を見て来た。

 

そして、引っ越し屋さんが牧師館前でスッ転ばないようにと、お隣のWさんに挨拶がてら地面の氷をかち割るツルハシを借り・・・・・・た。

 

もう一つ嬉しいことに、お目にかかったことはないけれど、ある時に電話でお話を聴かせて頂いたとあるご婦人から、人を介して「森先生にでも・・・」と鱈場蟹(たらばがに)を頂いたり(おいしかった!)。

 

更には、久しく使わなかったExcel。使い方をほぼ忘れてしまったため、ある働きを通じて相談ができるA先生に、特別講義を受けてから新任地に向かおうとしている。

 

教会はもちろんなのだが、それ以外に、3年前、無かった出会いの中での恵みが、今溢れていることを思う。平和のための活動を共に担ってきた稚内在住の教会外の方たちともさいごに食事をしようと言われている。

 

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稚内でのこの部屋からの発信はたぶんこれが最終便。

 

さまざまな形で部屋に来て下さった皆さん、ありがとうございました。

 

落ち着くのはおそらく4月に入ってからとなります。再会できれば幸いです。ごきげんよう(^_^)ノ 


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