2014年4月10日(木) №127 『 お豆腐屋さん ごめんなさい 』

ふと気がつくと、ブログの更新をしていなかった。というか、出来なかった。

 

年度末、年度始めであれこれが重なり、けっこうバタバタしているこの頃。

 

めずらしく、外からの原稿の依頼を受けたり(日本キリスト教団出版局の定期刊行物『信徒の友 6月号』の連載・「神に呼ばれて」を書きました)、教会の一年の振り返り資料と新年度の計画を考えたり、北海教区総会の準備委員会の資料作り、新年度の稚内北星学園大学講義のシラバス再検討など、駆け足だった。

 

左手首の骨折で入院している妻との今朝のメールのやり取りでは、「今週は、何だか一週間がながく感じる」と打った。

 

たぶん、それが本心かなと思う。

 

****************

 

さてさて妻が骨折してしまった。

 

手首にチタンの穴付きプレートを埋め込み、ビス留めする手術を受けた。

 

さすがに、手術室で意識があるままでは、「あっ、やばい」「ダメダなあぁ」なんて声が聞こえてしまうと大変なことになるからか、全身麻酔で2時間程眠らされての手術だった。

 

無事終了とは言え、あれこれ気になる。

 

看護師をしている方から、【手首の骨折、太い神経が走っているところなので、痛みは想像を絶するものと察します。一日も早い回復と、後遺症が残らないことを祈ります。】とお見舞いメールを頂いて、ありゃま、大変だなのと改めて気になる。手首を使わない生活は考えられないので、本人が一番心配だろう。

 

たぶん精神的にもダメージを受け、次の冬や雪の季節、怖じ気づく気持ちになるのが自然だろうと思う。折れたのは骨だけではない。

 

「北海道嫌いにならないでね」と道北の牧師仲間からの声がけもあった。

 

****************

 

実は妻の事故絡みで、トラウマを抱えることになった、一人の方の存在が、とても気になる。

 

それがタイトルの【お豆腐屋さん】だ。

 

不定期のようだが、この地域、お豆腐屋さんが車でときどき販売に来てくれる。かなり大型の油揚げなど(20センチ四方?)とても評判のようで、見ていると妻は何枚か購入しては冷凍しているようだ。

 

****************

 

4月5日(土)の午後1時過ぎ、そのお豆腐屋さんの笛の音が、スピーカーから牧師館に居た妻の耳に聞こえたらしい。

 

やや難聴があるわたしは気づかなかったが、慌ててお財布を手にした妻が、「おじさーん、待ってー」と駆けだした。

 

牧師館のおもての小道。

 

二日間続いた春の地吹雪の後、稚内市の除雪車がやって来た後で、圧雪路になっていたことを、わたしも後で知った。

 

それはそれは、史上最強かと思う程、猛烈なツルンつるんで、これじゃ誰だって転ぶ、と思った。

 

****************

 

しばらくして、なにやら玄関から聞こえて来たのは、「ただいま」の妻の声ではなかつた。

 

聞き慣れないくもった感じの「ご主人居られますかぁーっ!」の叫び声。

 

なんじゃ、と思いながら出て行くと、お豆腐屋さんが立っている。

 

「お、お、奥さんが・・・・」との声で慌てて飛び出すと、わたしもステーンとなりそうな具合だった。

 

見ると、妻が圧雪路に倒れていた。

 

その倒れ方は、痛くて苦しんでいるとかではない。銃で撃たれて身動きしないかのような、気絶しているというか、あれ、やばいのかと感じたような姿だった。

 

然るに、わたしは「どこが痛い?」と聞いたのではなく、生きているのかと体を揺すったような状態だった。

 

【ボキッ】と折れたときの痛みは相当なものだったようだ。

 

****************

 

お豆腐屋さんには、その後、ひと言電話を入れた。

 

この地域で長い間、こうして、販売してくださっているお豆腐屋さんだと思う。

 

お豆腐、油揚、がんもどき、豆乳。

 

買い物に出て行くことが大変なご高齢の方など、冬場は特に頼りにし、楽しみに待っているのではなかろうか。

 

だとすると、間違いなくお優しいお人柄に見えたおじさん。

 

常連の方たちに「急いで出てこないようにね・・・・・危ないから」と、心の内に抱きながらお過ごしであろうかと思う。たぶん、いつも気になるのではと思う。走ってこないでね、と。

 

そんなお豆腐屋さんのことを想うと、かなり心苦しい。

 

****************

 

妻が世話になっている6人部屋の整形外科の病室。

 

親しくなるに連れ、ご一緒している方たちのご事情がわかって来たようだった。

 

お一人は、お葬式のためにはるばる富山から来られて転倒して入院。もう一人、向かいのやさしいおばあちゃんは、利尻島からドクターヘリを使って運び込まれてきたというではないか。

 

妻とも数日前に、「まだ、稚内市でよかったよな。これが離島とか僻地で病院がなかったら・・・」と話していたら、やはり、そういうことになるのだった。

 

春が来たな、と思っていたら、さいごに落とし穴。妻も辛かろうと思う。

 

****************

 

久しぶりに米を研いで、我ら自慢のこんぶ水で炊いてみたが、今ひとつ上手に炊けない。いやはや、困ったものだ。

 

きのうは、夜の祈祷会が終わり、そら夕食だということで、牛丼チェーンの「すき家」に車で直行。一人テーブルに座った。

 

牛丼中盛りと、味噌汁、お新香、生卵のセットを食べ終わり、「チョコムースとコーヒー」を頼もうかなと思った時に、後ろから何やら若者たちの声。

 

振り向くと、稚内北星学園大学の「キリスト教概論」を受講している男子学生さんと目が合ってしまった。

 

「今晩は!」と互いが笑顔で声を掛け合った。

 

****************

 

が、その後、わたしの頭の中は妄想も駆け巡った。

 

「キリ概のもり先生、結婚してねぇのかな」

「結構さみしい暮らし、してんだなぁ」

「いや、あの、あの、あの・・・・」

 

と心の中でつぶやいたり。

 

「ここでデザートのチョコムースと有機栽培珈琲にイッチャウと、目立つかなぁ」とかである。結局食べられなかった(シクシク)

 

ま、そんな暮らしが、しばらく続きそうでござる。やれやれ。

 

あ、お祈りお励まし、ほんとうに感謝です。end

 

◆【 (日記以外の)新着 おしらせ 】

1)写真館に最近ものをすこし ^^♪16.5.30

 

2)「ブログ選集・PDF版」の部屋です

○『我 ステテコを愛す』(14.7.31)

○『「きょう一日元気で歩みます」とあった』(14.6.23)

○『美穂さん』(14.6.1)

○『我が師のアスケーゼ』(14.5.31)

 

◇最近のBlogは以下をClick!

mori-gen.jimdofree.com Blog Feed

2016年6月6日(月) 『 〈新〉 森牧師の部屋へ引っ越します 』 (月, 06 6月 2016)
>> 続きを読む

2016年5月28日(土) NO.225 『 〈前夜の祈り〉  beginner's 』 (Mon, 30 May 2016)
>> 続きを読む

2016年5月10日(火) NO.224 『 2016年5月号 増補版 旭東教会牧師室便り 』 (Tue, 10 May 2016)
>> 続きを読む

2016年5月3日(火) NO.223 『 間違いでも嬉しい!』 (Tue, 03 May 2016)
>> 続きを読む

2016年4月25日(月) NO.222 『 《 very good 》 でしたね 』 (Mon, 25 Apr 2016)
>> 続きを読む

2016年4月4日(月) NO.221 『 増補版 牧師室便り 11号 ~ 赴任して一年経った~ 』 (Mon, 04 Apr 2016)
>> 続きを読む

2016年3月19日(土) NO.220 『 木曜日 深夜2時まで頑張って 』 (Sat, 19 Mar 2016)
>> 続きを読む

2016年3月6日(日) NO.219 『 増補版 牧師室便り 10号 』 (Sun, 06 Mar 2016)
>> 続きを読む

2016年2月23日(火) № 218 『 ごろんゴロンと 五角形で行こう 』 (Tue, 23 Feb 2016)
>> 続きを読む

2016年2月9日(火) № 217 『 増補版 旭東教会 牧師室便り 9号 』 (Tue, 09 Feb 2016)
>> 続きを読む