2013年12月10日(火) №97 『こんぶ 湯豆腐だけに あらず 』

ある日の森家の台所。「こんぶ水」をつくるために、蟹の足を切り落とせるハサミで、利尻昆布を、幅1-2㎜と長さ4㎝前後に「10グラム」切り落とします。水は1リットル。一晩冷蔵庫におけば大丈夫。水が無くなれば、もう一度水を入れて出汁が出ます。残った昆布は、佃煮や煮物にどうぞ。
ある日の森家の台所。「こんぶ水」をつくるために、蟹の足を切り落とせるハサミで、利尻昆布を、幅1-2㎜と長さ4㎝前後に「10グラム」切り落とします。水は1リットル。一晩冷蔵庫におけば大丈夫。水が無くなれば、もう一度水を入れて出汁が出ます。残った昆布は、佃煮や煮物にどうぞ。

 
○わっかない教会 【 こんぶ通信 3号 2013年12月 】
『 こんぶ 湯豆腐だけに あらず 』

( 稚内教会による福音物語  その3)

 

サラリーマンをしていた20代半ば頃。私は東京の練馬区桜台に暮らしており、西武池袋線・桜台駅の近くの定食屋「鴨ちゃん食堂」というお店に、週に4、5度はお世話になっていました。

 

その頃の私にとっての豪華メニュー。それは「焼き魚定食」や「天ぷら定食」に《湯豆腐》を単品で付けるというもの。定食 +(プラス)《湯豆腐》の組み合わせは、当時の私には、最強のご馳走満腹セットだったのです。

 

今思い出してみるならば、あの一人用の小さな土鍋に、木綿豆腐が半丁、白菜3枚、太めのネギも3つ、椎茸の小一個と共に沈んでいた、縦4㎝×横3㎝の黒い物体こそが《利尻昆布》だったのではないかと思えてきます。

 

早朝、練馬から築地の魚河岸までの20㎞程を、えっちらおっちらと旧式の自転車をこいで仕入れに出かけていた「鴨ちゃん食堂」の“鴨下のおいちゃん"でしたから、昆布にこだわりがないとはとても思えません。

 

稚内に引っ越して来るまで、ハッキリ申しまして《利尻昆布》とは縁遠かった私です。先の「湯豆腐話」のように、昆布は“お鍋"の時にしか出番がないと思い込んでおりました。

 

あー、恥ずかしいなぁもう。

 

おいしいだし汁がとれて、料理に活躍するのは“鰹節”“煮干し”“干し椎茸”だと決め込んでいたのです。

 

人生折り返し点をとっくに過ぎましたが、《利尻昆布》と真っ正面から出会えて幸せです。本当によかった。今のわたくし【昆布さま】に足を向けては眠れません。

 

稚内教会が利尻昆布バザーを始めるようになり、わが家の食卓も随分変わりました。全国各地の皆さんにお勧めするからにはということで《利尻昆布》をいろんな形で試すようになったからです。

 

《利尻昆布》にお世話にならない日はゼロ。

 

本当にそんなに使い途があるの?と不思議に思われるかも知れません。実は、ご飯を炊く時のお水の半分に「こんぶ水(すい)」を使うようになったのです。

 

わたくし、長年の習慣であったはずの朝のパン食にアッサリと別れを告げ、ご飯と味噌汁党に変わってしまいました。

 

何しろ、ご飯があまりにも見事においしく炊けるのですから。朝から稚内名物、ほっけの干物と共に頂いたりします。絶品です。はい。

 

新米は何でもオイシイ!という話はよく聞きます。でも「こんぶ水」を使って炊いたご飯は古米でもうまい。ご飯が冷めると「こんぶ水」で炊いたお米のうまさが際立ちはじめます。

 

ですから皆さん、お弁当がまた楽しみになるのです。この『こんぶ通信3号』をワープロに打ち込みながら「こんぶ水」で炊いたご飯を思い浮かべるだけでも腹が減り始めます。

 

10㌘の利尻昆布があなたの人生を変えるかも知れない。そうお伝えしようとしているわたくし。4日に一度位のペースで、寝る前位の時間に、台所の妻から呼び出しを受けます。

 

「ちょっとぉーっ!こんぶ切ってぇー」と。

 

料理ハサミを手にしたわたくし。10㌘のこんぶを幅2㎜、長さ4㎝程にちょきんチョキンと切り落とすのです。写真、見えますか?

 

私たちが《利尻昆布バザー》でお勧めしている「こんぶ水」を作るために、ポットに昆布を切り落として水を注ぐ。使い切ってしまったら、もう一度注いでもOKの優れもの。一晩冷蔵庫に置いた「こんぶ水」を使って炊き上げたご飯の味。一度知ったらクセになります。

 

洋食の隠し味に「こんぶ水」を使うのも実はピッタシではないかというのが最近の森(もり)家(け)での一致した見方です。カレーもスパゲティーも「こんぶ水」で味がまろやかになります。さらにオニオンスープなんかも実に味わい深くなりました。

 

ここ半年程のわが家の食事の時間に増えたもの。

 

それは笑顔。今までどうだったのかは、聞かないでくださいませ。おいしいものって人の心を和ませて幸せにするのですね。わずか10㌘のこんぶをチョキチョキと切って水につけて置くだけで凄い力を発揮。

 

食べ物がオイシイのに、しかめ面(つら)するのは無理です。わが家の小(こ)言(ごと)係数の減少は確認済み。利尻昆布10㌘の秘めたる力、畏(おそ)るべしなのです。

 

イエスさまは12人の弟子たちを召し出される時に、なぜか漁師から半数近い人を選ばれました。これは漁師の町と言われることもある稚内。そして教会を励ましてくれる記述です。

 

イエスさまが稚内教会の面々に向かって、「あなたがたは世の光、地の《昆布(塩ならぬ)》である」と言われたのではないかと、聖書をめくって確かめそうになります。残念ながら聖書には《昆布》の文字は見つかりませんが。

 

ある平日のこんぶ作業の日、一人のご婦人が作業を開始して間もない頃に、ぽそっとこう言われました。

 

「海に昆布が無ければこのバザーは出来ないっ」

「買って下さる教会がないと売れないっ」と。

 

きっと思い巡らすことがあったのでしょう。私は確信をもって「利尻昆布バザーって“神わざ"ですね」と申しました。

 

人の力を超えた所で利尻昆布バザーは展開中。「こんぶ 我らを 救う」。そんな言葉も出てきます。わずか10㌘の昆布から福音が染み出るのですから。

(*たぶん 続く)

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