2013年11月25(月)№92  『 大学講堂にて 〈 音楽教師たち 〉に学ぶ 』

 


いきなり、漢字が多くて恐縮なのだが、「主催、北海道高等学校音楽教育研究会名寄・留萌地区」の音楽の先生方主催の『 音楽演奏会 』に出掛けた。

 

先週の金曜日の夜、地元にある、稚内北星学園大学の講堂が会場だった。いつもは講義に出かける大学に、パイプオルガンも置かれている立派な講堂がある。

 

入場は無料。関係の先生からご案内を頂いていた。

 

企画・出演されたのは次のような方々で、何年も続けているプログラムの様子。

 

北海道名寄高等学校教諭
北海度名寄産業高等学校教諭
北海道稚内高等学校教諭
稚内大谷高等学校教諭
北海道浜頓別高等学校教諭
北海道天塩高等学校教諭
北海道留萌高等学校教諭

 

そして、他に、賛助の立場で、地元稚内より、
稚内市立 稚内南中学校教諭
枝幸町立 枝幸中学校教諭

 

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それぞれ、音楽を専門に学ばれ、音楽の教諭として働いておられるのだが、最初の方のあいさつで聞こえたのは、「道北の他の高等学校には、他には音楽の教師は居りません」という言葉だったような気がする。

 

さらに、「それぞれが、専門の科目以外の授業を担いながら、日々一所懸命に頑張っている」という意味の事を言われたように思う。確かに、わたしが存じ上げている方も、家庭科を教えておられるとお話されていた。

 

曲の合間のマイクを持ってのお話が、どなたも聞き取りにくかったのが惜しまれた。

 

わたしは、どなたの演奏も、いろんな意味で感動し、「自分も頑張らなきゃいけないなぁ、切磋琢磨し、励まし合いながら歩むって大事だな」などと思いながら、牧師の世界のことをあれこれ考えたりだった。

 

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演奏された方たちにとっては当然のことかも知れないけれど、ステージの上でソロで奏でることの厳しさは、わたしの日常では考えられない程のものだと知った。

 

それはそれは、たいへんな緊張感を伴うものだろう。アドリブなどゆるされない。言葉の言い換えがあるわけでもない。一発勝負で逃げ場はなし。週替わりで説教を語り続けるのとピッタリ重ねるものではないにしてもだ。

 

その道のプロの先生方とは言えども、取り組みやすい曲を選んだとはとても思えなかった。

 

当日のプログラム用紙にも、例えば、「今年度ピティナ・ピアノコンペティションの課題曲にも取り上げられており、全楽章中最も難易度が高い名曲です」と紹介される【piano sonata第15番 「田園」より第4楽章 ベートーヴェン 作曲】とあったりする。

 

ピアノのみならず、クラリネットの独奏ほか、最後の合唱に至るまで、素晴しかった。

 

20代の頃、寺山修司の天井桟敷、唐十郎の情況劇場、SET・スーパーエキセントリックシアターなど、小劇場の「ナマの舞台」の力に触れた時の興奮に通じるものもあったのだった。

 

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わたしの感動。それは、他の演奏家の音色や弾き方を知らない素人だからなのだろうか。

 

違うと思う。

 

わたしは彼らの姿にプロフェッショナルを見て、そのことに感動していたのだ。いや、まだ言葉にならない確かな感動が心に刻まれたことを感じる。ありたがい。

 

この音楽会。300人は軽く入れるであろう大学の立派な講堂に、どう多く見ても50名に満たない観客。

 

しかし、皆さん堂々と、魂を込めて演奏された。

 

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わたしは小さな教会の牧師。

 

礼拝堂は詰めれば100名は集えるだろう。だが、平均の礼拝出席者は10数名。でも、10数名だからこの程度でよかろうというような思いは、一度たりとも抱いたことはない。

 

当たり前のことだけれど、心を込めてみ言葉を語る備えをし、何かを削り仕える。

 

おそらく、彼ら、彼女ら、北海道高等学校音楽教育研究会名寄・留萌地区の音楽の先生方は、たとえ、聴衆が一人でも、いや、席に誰も外からのお客さまが、一人もいなくても、祈りを込めて自らの命を削りながらでも、歌い、奏でたはず。

 

チェロを、ピアノを、バリトンの歌を捧げずには生きていけない人たちなのだ。そのことを知ることができてよかった。それが音楽家なのだ。

 

中にお一人、舞台の袖に居られる時、そして、演奏中、さらに演奏を終えた後の立ち振舞いが脳裏に焼き付くのを感じた方が居られた。祈りを感じ、ささげる喜びに生きているように見え、聞こえた。まさか、講壇での牧師の「姿勢」についても考えさせて頂けるとは。

 

この点でも、思いも寄らぬ音楽会だったのだ。

 

そして、不器用そうに見えた男先生の姿にも嬉しくなった。好きだなぁ、あの感じ。あのたたずまい。舞台から猪突・・のように降りて来る歩き方。すばらしいです、本当に。

 

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最後に出演者全員で歌われた「旅立ちの日に」。

 

歌詞をパンフレットに記して下さっていたら、わたしにとっては満点の音楽会だっただろう。

 

【全員で心を込めて歌います。会場の皆さまも御一緒にどうぞ】とあったので、稚内の《イル・ディーヴォ》( *下に注)は、「ぼ、ボ、僕にも歌詞をください」と手を挙げて叫びそうになった。end

 

*【イル・ディーヴォ】イギリスの4人組のヴォーカル・ グループ だそうで、先だって知りました。興部伝道所との交換講壇で、説教卓の間近に居られた奏楽者の方に「イル・ディーヴォみたいだ」と言われるまで知らなかった人たち。

 後日、職業柄どうしても気になったという声楽家の友人からは、メールで「見つけました !! 一番右のくせっ毛の方、中音域の声質が似ていて、そこだけピックアップすると、そっくり・・・」と言われて、“ウフふ"とおもっとります。 

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