2013年10月21日(月)№85  『 この時間が必用だった 』

 

教会を離れて、宗谷・道北を流れる天塩(てしお)川に代わって、石狩川がどーんと広がる、石狩平野のまん真ん中、新篠津(しんしのつ)という村に出掛けた。

 

年に一度、日本キリスト教団北海教区が長年続けて来ている〈教職講座〉に出席。帰りに、夏の痔ろう手術のケアを受けるために札幌へ。合計5日間の〈旅〉だった。

 

10月13日の礼拝説教で、アブラハムを通して語った時に、旅と旅行は違う、というようなことに触れた。スケジュールは綿密に管理されている研修だったのだけれど、内容的には、わたしにとって〈旅〉に他ならない時間となった。

 

つまり、思いがけないことも多くあり、出会いという意味では、本当に想定外の出来事が生じることがしばしばあるのが教職講座だと思う。

 

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仲間たちの言葉によれば、今年は少し詰め込みすぎた、とのこと。

 

確かに内容は盛りだくさん。消化するのはほとんど無理。単なる情報とか知識ということではなく、同労の仲間たちの息遣いに触れ、つぶやきと笑顔、背中を見ながら考えさせられた。

 

研修の内容には幾つかの柱があるけれど、それに触れるのは、このBlogではとても無理。

 

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こぼれ落ちていた恵みというか、気付きを二つ三つ四つかな? 記したい。

 

かつて共に学んだ友は、早朝、ひとりテーブルに座っていた。何をしているのかと思いのぞき込んでみると、オリジナルの予定表にアカを入れながら、これからなすべき事を思いめぐらしていた。

気付いた時には、「じゃあな、また」の言葉を交わすこともなく消えていた。それ程、忙しい日々なのだと思う。

 

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楽しみにしていた友と二晩続けて語り合った。ゲームセンターの横の椅子が穴場で、23時過ぎ、宿舎のおじさんがゲームの電源を落とすと、静けさの具合がちょうど良い空間が生まれる。二日目は露天風呂につかりながら、半分は語り合った。

 

わたしが、ごく自然に、かつての悲しく傷ついた思い出をぽろっと語ると、彼も語りはじめる。

 

「peer counseling・ピアカウンセリング」とは、こういう場を言うのだろう。

 

普段、ベタベタとした付き合いがあるわけでもなく、酒を酌み交わす友でもない。しかし、不思議と共通の思いを根っこに持ちながらの安心した交流が持てること。本当に有り難い。二晩共、ゲーセンの長椅子で祈りを合わせて散会した。

 

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東日本大震災の被災地で専従者として仕えている若き伝道者の報告に、わたしも含めて、多くの参加者が涙をながしたのではと思う。

 

とりわけ、彼の持ち時間の最後に、札幌の女性教職のY牧師が、「わたしたちに出来ることがあれば、祈りたい。お話できるのならば・・・」と声を詰まらせながら声掛けをしてくれたことは、本当に感謝だった。よくぞ立ち上がってくれたと思う。

 

「祈ってください・・・」のあとのことは割愛。

 

その後、聴かせて頂いたことを思うと、今も、ズーンと“はらわた”が痛む。

 

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幾人かの先輩(年は下)が、「教職講座の内容は1年掛けて考えるべきもの」という意味の事を話していた。去年は一年目で、まだまだ余裕を持って考えることが出来なかったが、今年は、だいぶ色んなことが見えてきた。

 

触れて、聴いて、手にして、見て、そこに居て。稚内を少しの間離れて、仲間たちとの共同生活をすることは、とても大事な時間だった。

 

部屋中に響き渡るS先生の〈おおいびき〉に、眠れなくて困るかと思いきや、数分で熟睡スイッチが入ってしまった。数年前だったら、部屋を出てうろついていたのでは、と考えて見ると、元気になったものだと感じる。

 

秋のこのタイミングで行われる教職講座。厳しい北海道の冬が来る前に、という長年の積み重ねの中で生まれた知恵なのだろう。

 

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かつてはバリバリの社会派の牧師でした、という同室の先生は、本当に穏やかでありながら、芯のしっかりとした言葉を口にしておられた。親しくなる切っ掛けが出来てこれまた有り難い。同じ九州の出身と知り、これも少し嬉しかった。

 

八十二歳にして隠退を決意された利別教会の相良展子牧師の証しも、まるで、白黒の映画を観ているような情景が目に浮かび、心に焼き付けられた。わたしの母と同じ、昭和6年生まれとお聴きした。

 

そうか、30年前に召された母が元気だったら、等と思わされたりもした。

 

他にも、これまで言葉を交わせなかった方々と沢山のやり取りが出来た。そういえば、こんぶの店開きをしていたが、それも切っ掛けにして会話が弾んだのも嬉しいことだ。不思議な潤滑剤にこんぶがなっている。

 

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福岡に里帰りしていた妻と札幌で落ち合い、家路につこうとしたその時、T姉から、御主人入院の連絡が入った。スイッチの切り替えが出来る電話だった。

 

休憩も含めて陸路約6時間弱。稚内に向かう町々が、一年前とは違う形で目に入ってくる。

 

オロロン街道を走る頃、日本海に浮かぶ利尻山は闇の中で見えない代わりに、いか釣の漁船の漁り火が目に入ってきた。月がまぶしく感じるほどに明るい。都会にはないたいせつなひかりが、わたしを包んでくれていた。end

 

 

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