日曜日、平和主日の礼拝、役員会が終わり、その後、幾人かの教会員のお宅を妻とお訪ねした。
いずれも、抗がん剤の治療を行っている方や、これから、治療を始めようとしている方たちである。
「じゃぁ、そろそろ失礼します。何もできませんが、お祈りさせてください」と伝え、つたない祈りを捧げる。「主よ、癒しのみ手を差し伸べてください」と。
祈らせて頂くことは、自分の無力を覚える時でもある。ご家族の思い以上の祈りなど、わたしにできるわけがない。
しかし、奇跡を起こしてくださるのならば、そうして頂きたい。そう心に深く思いつつ祈ることしか出来ないのだ。見えないけれど共に居られる神に委ねる。
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8月4日(日)は、稚内の夏の終わりを告げるかのような、大花火大会の日だった。去年は花火を見る元気もなかったのか、とにかく何も記憶がない。
今年は妻と二人、大黒の埠頭沿いに車で出掛け、わたしは車内で寝そべって花火を見た。2500発の花火は、美しさと共に何かしらのさみしさを伴うように感じる。何故だろう、と思っているうちに、ウトウトし始めた。
牧師館に戻って車を降りると、妻の声に、星空が花火以上に美しい夜だと気付く。二人、空を見上げていた。
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昨晩、シャワーを浴び、就寝前の手術後の処置をして、そろそろ休もうかと思いメールチェックをすると、このブログ『森牧師の部屋』の「メール・連絡」の欄から一通のお便りが届いていた。
昨日(NO.65)のブログで少し紹介させて頂いた、“青と白の翼のあるホテル”での結婚式で出会ったご家族からのメールだった。花嫁のお姉さまとある。妹さんだと思い込んでいたのに。
「家族を代表して長女の私からメールさせていただきました。本当に本当にありがとうございました。」でとじられていた。以下、配慮しつつ、感謝を分かちあいたい。
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8月3日、○○○○○ホテルで○○○○・○○○○のサプライズ結婚式を挙げていただきました。新婦の姉の○○と申します。
このたびは本当にありがとうございました。ホテルの方からお名刺をいただき、ブログも拝見いたしました。本当に想像していたよりも100万倍、素敵な式でした。森牧師の思いやりが伝わってきて感激いたしました。
挙式後、今まで出席したどの教会式よりも、森牧師、聖歌隊の皆さんの温かさが伝わってきたね。と新郎新婦はじめ家族全員で喜んで話し合っておりました。感謝しております。
妹は・・・・当初から結婚式は挙げないと言っておりまして。二人で決めたことなら…と思いつつも、新郎が本当は結婚式をしたがっていたことも知っており、残念に思っていました。
そんな時、父が「サプライズで挙げよう」と発案。
うちの両親は稚内出身で、今回は家族揃って故郷を訪ねる旅でした。そこでサプライズ結婚式。妹の着付けをしてくれた美容室も、写真館も偶然にも両親の結婚のときと同じところだったそうです。
挙式の時、家族みんな泣き笑いでしたが、寂しさでもなく、単純な嬉しさでもなく。紆余曲折、頑張ってきた妹の人生を祝福するような、妹や子供たちの父になることを頑張ろうとしてくれる新郎に感謝するような、なんとも言えない不思議な涙でした。
挙式の準備は婚礼担当の方とメールや電話でやりとりし、私がさせていただきました。打ち合わせを進めていく途中で新婦が妊娠したりして、おめでたくもあたふた大変でした。(笑)
当日までドキドキしましたが、こんなに思い出深い日にさせてくださったこと、心から御礼申し上げます。
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わたしも小さな返信をした。その中に記したのは、こういうことだった。
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何とも豊かな余韻のある、忘れられない8月3日(土)のお式となりました。忘れようにも忘れることができない結婚式が、時々巡って来ます。その多くが、少人数のご家族の列席とか、二人きりであることが多いのです。
記してくださったことを読ませて頂いて、あの時には伺い知れなかった皆さんの祈り、思いが、どれほど厚みと温かさがあるものであったかを改めて知りました。
あの日、メッセージの中で語らせて頂いたことは、ある意味で、自分自身のことを振り返りつつの言葉でした。作文ではなく、真実な思いを込めて、お二人、そして、後ろにお座りになっていた皆さんの心に届くようにと。
聖歌隊の方たちも、本当に感動していたと思います。誰かひとりの力でそうなったのではなく、みんなの思いが、あそこで一つにされて、これまでの皆さんの人生のすべてのことが必要な事だった。そういう時となったのでしょう。
二人のお嬢ちゃんたちも、あたらしいスタートが切れたのではと思います。なかなか、こういうことって、創ろうとしてつくりだせるものではありません。すごいな、と思います。
神さまいるんだって、牧師なのに改めて感じたりするのです。
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出会いが与えられているご家族の、さまざまな思いが交差する中を歩ませて頂いている日々に感謝だ。そこに、イエス・キリストの神が共におられることを思う。
2013年 稚内の短い夏の終りが、すぐそこまでやって来ているのを感じている。end