2013年08月05日(月) №65 『 結婚式物語 その1 』


稚内で一番大きく、格式のあるホテルは、おそらく、稚内の港近くにある飛行機会社系列の全国チェーンのホテルではないかと思う(無論、いろんな見方があるので違う意見もあるかも知れません)。ホテルとしては、シティー&リゾートと呼んでいるようだが。

 

全国各地にあるそのグループホテルの経営スタイルは、さまざまな形がある様子で、稚内の場合は、紆余曲折を経て、別の運営会社が請け負っているそうだ。

 

しかし、それにしても、全国ブランドの“白と青の翼のホテル”であることに変わりない。おそらく、全国各地の同一名のホテルと統一された教育を引き継いでいるサービスが行われ、スタッフの皆さんも、プライドをもって仕事をされているのだろうと思う。女性のユニフォームなど、cabin attendantのそれとそっくりである。

 

実は、稚内教会会員のお嬢さんが、少し前まで、そちらのホテルウーマンだったというご縁もあり、今年度から、キリスト教式結婚式が行われる場合、予定がつく限りは、わたしが司式をさせて頂くことになった。もちろん、役員会の了解のもとであるが、先日、初めての司式に出掛けて来た。

 

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これまでも、各地の結婚式場やホテルでも結婚式のお手伝いをさせて頂いたので、心配とか不安というようなものはなかった。

 

ただし、初めてお目に掛かる、聖歌隊の方々やオルガニスト、カメラさん、そして、結婚式関連のホテルマンと共に力を合わせるということで、いささかの緊張感があったのは本当のこと。皆さん、“せんぱい”で、こちらは“新米”。

 

でも全体を導かなければならない。

 

おまけに、結婚式をお迎えになる方には、なーんにも関係ないことであるのだけれど、まだ、痔の手術をして、退院間もないということもあったので、とにかく、無事に終了することを願いつつのお手伝いとなった。

 

そういえば、新潟の教会に居たときには、中越沖地震が起きた直後に近くの式場で結婚式が予定されていて、妻が泣きながら座り込んでるのを脇に見ながら置き去りにして、結婚式場に向かったこともあった。

 

やれやれ、あの時は大変でした。

 

兎にも角にも、依頼を受けている以上はぜったいに穴をあけることはできないという責任があるので、前日確認のみならず、場合によっては、今から式場に向かいますという当日callを入れることを求められることも外部の結婚式ではある。

 

それはそうだろう。

 

牧師が来なければ結婚式は始まらないわけだから、そういう意味では実にリスクが大きいのも結婚式なのである。

 

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この度の結婚式。

 

当日の朝まで、結婚式を挙げる新郎新婦のご両人が、そのことを知らない!というサプライズ結婚式だった。式を挙げないのはご当人たちの意志だったのかも知れない。そういうCoupleは時々居られる。とにかく、既に入籍されているけれど、結婚式は挙げていないお二人だった。

 

ホテルに到着して担当の方にあらためて確認してみると、「先ほど、新郎さまと新婦さまに、初めて結婚式のことをお伝えしました。今、お支度が始まっているところです」とのこと。

 

いやー、驚いただろうなぁ、お二人は。

 

ドレスなど、どのような段取りがされたか詳細は聞いていないけれど、ぴったりとしたものをお二人ともお召しになっていた。

 

稚内には家族旅行でおいでになったそうで、お二人の外に6名が列席のお式となった。

 

バージンロードと呼ばれることの多い真ん中の道。

 

わたしは、花嫁に対して、この道は(聖壇に向かう時は)「お父さまに代表されるご家族と歩んで来た道を意味するんですよ」と伝えることにしている。

 

逆に、「聖壇から新郎新婦が歩き出すのは、お二人があたらしい人生の旅路を、皆さんの祝福の中をスタートするのです」と語りながらリハーサルすることにしている。

 

その他、歩き方や腕の組み方、指輪の交換の意義、ベールのあげかたのポイント、キスの仕方等など、一連の動きもお稽古の時にお伝えするが、本番で、それを忘れることがあっても、乱れようとも、全く問題はない。

 

何よりも、一つ一つの意味を知っていて欲しいと、わたしはいつも願っている。

 

花嫁のお父さま。

 

わたしがこれまで知っている限りで一番の軽装で素敵だった。黒色系のjeansに、白のシャツを着ているだけ。60過ぎにお見受けしたお父さまはイカシテイタのだった。

 

式の終了直後、「聖歌隊、オルガニストと共に、今日はご一緒させて頂いて、わたしたちの方こそ感動しました。ところで、誰がこの日、このような形で準備しようと音頭をとられたのですか?」とご家族に聞いてみた。すると、

 

「お父さん」です、と妹さんやお母さまが言われるではないか。

 

照れているお父さま。幸せそうというか、やや、ハニカミながらうつむかれた。

 

下のお嬢さんから「おっとーさん! もう、どんだけ号泣するんだよ」との声。

 

うーん、改めて感動。

 

我が家に娘はいない。

 

けれど、もしも「ねぇ、父さん、わたし○○さんと結婚するけれど、結婚式はしないからね、わかってね」と言われたら、「おー、それもいいなぁ-」何て気の利いたことは言えず、妻に、ぐちぐちとつぶやき続けるのではなかろうか、と思うのだった。

 

稚内教会でも結婚式をお引き受けしている。

 

もちろん、ノンクリスチャンでも大丈夫。再婚であっても全く問題なし。お二人だけの挙式が去年はあったなぁ。あっ、遠い昔に結婚され、式を挙げたいと思いつつうん十年経ったご夫妻なんかに、出会ってみたいなぁと感じる。

 

どのような事情があろうとも、出会いが与えられ、ご奉仕させて頂けるならば、最北の町にある教会として、また、牧師としても嬉しいことだと思う。会員の皆さんと共にベストを尽くしますので、どうぞ、ご相談下さいませ。はい、これは宣伝・コマーシャルであります(大笑)。

 

忘れることができない心に残る結婚式が、また一つ増えた。稚内の夏に感謝。end

 

 

 

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