2013年08月01日(木) №64 『 増補改訂版 牧師室便り NO.16号(7月28日発行分) 』

以下、月に一度の「牧師室便り 7月号」の加筆版です。ただし、元々の内容を記したのが、入院前の週のことであり、補筆するのもぎこちなくなりそう。ご承知くださいませ。

 

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お尻美人? それとも美尻男子?になるために、わたくし、このお便りの発行日(7月28日)には札幌の病院に入院しております。

 

入院は7月23日(火)からですので、執筆はさらにその前。何だか時差を感じられたらそれが理由です。ごめんなさい。

 

昨年のゴールデンウィーク、札幌北光教会で毎年おこなわれる大きな教会会議に参加したあの時、あまりの痛みに、わたしは宿泊先のベッドで泣きうめき、とうとう気を失ってしまった。

 

その後もいろいろあったけれど、ようやく時が満ち、痔の中でも一番やっかいな「痔ろう」の【根治手術】をということになった。去年も手術をしたと思っていたのだが、あれはどうも、膿をだすための単なる切開だったのですなぁ。やれやれ。

 

正直言えば「恐怖あり」が本当のところ。

 

手術もそうだが、去年は術後の麻酔の悪さに相当参ったのだ。牧師館で、布団から起き上がることが出来ない日が数日続いた。麻酔って恐ろしいものなのだ、と学習したものである。

 

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6月の末から7月の初めにかけて、14年前に天に帰って行った姉の二人の息子のうち、28歳になる長男の〈宗太君〉が横浜より来稚することになった。すこしワクワクしながら、JRスーパー宗谷を幌延駅までわたしも出向き、そこからドライブを始めた。

 

まず向かったのは天塩。天塩の道の駅では、名物の“シジミラーメン”をわたしは注文。甥っ子の宗太君は、北寄貝のカレー。はて、どんなカレーかと思って見ていたらフライになった北寄貝が乗っていて何とも旨そうだ。次の機会にはわたしもあれをゲットしなければと頭にインプットした。

 

その後は日本海沿岸の名物・オロロン街道を北上。風車の壮大な列や利尻富士を見ながら稚内に向かった。時間の都合もあり、サロベツ原野は今回はお預け。偶然にも同じNikonの初心者向け一眼レフを手にしていた宗太君と、シャッターを交互に押し合いながらの旅となった。

 

稚内に入ってからは、まず最初にノシャップ岬を見学。有名な魚屋さんであり、お土産屋さんの“あきかわや”さんに入ると、礼文から届いたという“シマエビ”が目に入る。夕飯の刺身にどうかと思い、妻に電話すると、「買ってきて、それがあれば、わたし、買物に行かんですむケン」とのこと。

 

そうか、お土産だけでなく、手頃な魚も場合によってはここで買うことが出来るということを学習した。さらに稚内を一望できる稚内公園に案内。ついでに教会のお墓にも行って様子を確かめることもできた。

 

日曜日をはさんでいたので、というか、嬉しいことに甥っ子の宗太君は、日曜日には礼拝に出て、「げんちゃんの説教も聞いてみたい」と涙がぽろりとなりそうなことを言ってくれての旅でもあったのだった。

 

幼稚園の運動会も重なっていたので、運動会の会場にも案内したりと盛りだくさんの日曜日は楽しかった。そして、日曜日の夕方は、利尻島に二人で渡ったのだった。

 

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利尻に出向いての一番の驚き。それはフェリーに乗り合わせていた方たちの年齢だった。お仕事以外の旅人と思われる8割位の方がほぼ確実に70歳前後に見えた。ご夫婦とおぼしきカップルも多く居られたし、幼馴染みとかにも見える方々も大勢いらした。

 

一度は北海道へ。しかも、札幌辺りではなく、という気持ちの表れだろう。

 

知人の紹介で泊まったペンションは見事なまでに肉料理は一つもなかった。世に多い、「もう、これ以上はお腹に入りません。満腹・降参です」という所に至る2歩手前くらいのお料理のおもてなし。それはある意味見事だった。朝食も、ここ10年でこれ以上は考えられない程の見事な按配に感服した。グリーンウインドさんと言います、そちらは。

 

翌日はレンタカーを借りて利尻を一周することにした。

 

特に、利尻登山の入口付近から湧き出る(他からもあるとは思いますが)「甘露泉水(かんろせんすい)」の美味しさには感動。水道水とフランスの某ブランド水の違いがわからないことはあっても、この「甘露泉水」だけは、他のどの水とも違いがわかる、ような気がした。それ程うまい水だ。

 

利尻に来て思ったことのもう一つは、想像以上に利尻富士は大きな山だったということ。しかも、面白いことに雲の掛かり方によって、本当に島の北と南、或いは、西と東なのか、天気がまったく違う。驚いた。いつも、稚内の“坂の下”や“夕陽丘パーキング”から見える利尻は、ある意味、利尻の一面に過ぎないのだと気付かされた。

 

その後、昆布バザーで思いがけずお世話になっているT田姉のご親戚の漁師さんにもご挨拶できたことも本当に嬉しかった。

 

1年前に、漁を継ぐと言って張りきっておられた息子さんを、コンブ漁で天に送ったご夫妻と妹さん。

 

お仏壇がわたしの視界の後方に見える中、穏やかにあれこれとお話し下さった。このブログの“気ままフォト”にその時の一枚が収められています。よろしければご確認を。

 

厳しい冬でなく(レンタカーのお店のお姉さんが冬の厳しさを真顔で口にしていました)一番よい季節だったにしても、島全体を癒しの空気が包んでくれていたのを確かに感じた。利尻の方々は「利尻がいちばん」と確信しているのも何か分かる気がしたのだった。

 

甥との旅の最終日(火曜日でした)は宗谷岬・宗谷丘陵を妻とともに散策。その頃ふとわたしは思ったのだった。

 

「あらっらぁ、いつの間にか、稚内のだいたいの観光地が分かるようになったなぁ」と。少し成長した気持ちになった。

 

稚内市が開講している「稚内学」にも教会の皆さんの了解を頂き参加させて頂いて来たことも、ジワーッと効いていて、単なる知識だけでなく何かしらの厚みが出てきたような気がして嬉しくなったのだった。

 

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話は変わるが、勝間和代さんという経済関連のジャーナリスのブログを、或る頃からわたしは読んでいる。何も自慢するような事ではないが、生きる世界の違う彼女のブログは、わたしのような人間には世間を知る窓でもある。

 

ごく稀にだけれど、ほーっ、なるほどねと惹かれる内容を届けてくれる。

 

最近のわたしにとってのヒットは【「急がない」健康法】だった。「ゆっくり動く」「余裕を持つ」。その延長線で、よく寝る、ゆっくり食事、ゆっくり入る風呂。さらに「移動時間には、すべて10~20分の余裕をみる。すると風景が変わる」とのこと。

 

ちょこっと実践してみたのだが、たいせつなヒントをもらえたなあと感じる。いつも、「ほーら、また約束の時間を過ぎた」と妻に言われることが多いわたしである。この先、どれだけ実践できるかは分からないが、チェンジの必要を感じているし、変わる意味はありだと思う。

 

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文集『あしあと』を発刊してから2ヶ月になる。発行後、ホームページにもその一部を少しずつ公開している。プライバシーに配慮しつつ教会外部の方にお読み頂いて、教会の内側の空気が、外にもゆるやかーに伝わっているようだ。

 

教会の皆さんや周囲の方々が綴ってくださったものが、わたしの手を離れて、さまざまな形で福音を発信してくれている。

 

時に電話、そして、お便りやメールで「良かった」という思いが届く。その受け止め方は、わたしの説教と同じで、既に、教会の内側に居るわたしたちには想像できない、読み手の文脈の中で力を発揮していることが素晴らしいなぁと思う。感謝だ。

 

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先頃、韓国から自転車旅行でおいでになった24歳の大学生との礼拝堂の一番前の席に座っての語らい。短時間だったが大いに教えられたり、驚いたりの時間となった。

彼は何かの話の流れから、「韓国は日本よりも貧しい後進国です」とお話されたのだった。

 

最近の韓国の工業製品、例えば、自動車にせよ、携帯電話にしても韓国製は相当な力を発揮しているので、もう、韓国は日本と並んでいるか、ある分野では先に進んでいるとわたしは思っていたので意外だった。

 

近い将来就職を控えている彼に、「大卒業後の給料は幾ら位あればいいの」と質問してみた。すると彼は「15万円あれば」との答えたのだった。どうだろう。稚内をはじめとする地方経済の実状からすると15万円の初任給は無い話ではない。しかし、東京辺りで4年生大学で学ばれた方たちは・・・ちょっと違うのではないか。

 

他にも男性に義務付けられている2年間の兵役制度。同胞でも「今は敵です」と断言された北朝鮮のこと。そして、かなり行き過ぎているという学歴社会のことなど。どれも聞いていて飽きないどころか、もっといろいろと教えて欲しいと思う中身が濃い出会いだった。

 

もちろん、彼独自の、よい意味での韓国の社会でのマイナーな立場からの視点があることは承知しているけれど、それでも出会わなければ分からない事ばかりで、とにかく貴重な時間だった。

 

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7月14日(日)の礼拝前、「朝6時に温度計を見たら、もう20℃になってたねぇー、暑いよねぇ」とお話ししているご婦人の声が聞こえた。

 

福岡に居た頃は、いや、それ以外の地域でもだが、同じ時刻でも10℃高い30℃の日がよくあったはず。20℃は天国だったはずである。

 

ところが、どうも最近は、昼の25℃でもかなり暑いと感じてしまう。そこでも、稚内の人になって来たわたしを自覚したのだった。30度越えは想像しにくい世界である。

 

昆布バザーを通じて、漁師さんの仕事ぶりに触れられることは新鮮な経験となりつつあることを思う。その奥深さや厳しさはまだまだ想像の域だが、魅せられる。旗が上がるのを静かに待つ姿勢もすごいなと思う。

 

「人生、学ぶに終わりなし」。それが最近の実感である。end

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