2013年07月30日(火) №63 『 詫びようとしたら ~ 師長さんは大きく手を振った ~ 』

退院してから一日過ぎてのご報告。ときどき痛みはありますし、ごくあたりまえのことのようですが出血もあります。でも、ごく普通に休養しております。

 

退院の日は、10時15分から、退院する患者さんを集めて、慣例の師長さんからの【退院に備えてのレクチャー】があった。

 

女性4名、男性4名。気の利いた抹茶が入れられ、黒砂糖の甘みがチョコンと添えられている。お世話になった病院の空間作りは圧倒的にすばらしく、ハッキリ言って、そこらのシティーホテルよりもずっと上を行く。

 

金曜日の午後には毎週30分、ピアノの演奏会がある。わたしの時には、フルートと一緒に、思い出のPopsや夏の唱歌が奏でられていた。朝は7時頃から9時頃まで、クラッシック音楽がBGMとして静かに流れる。いいもんです、ほんまに。shower roomも快適だったし。

 

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「わさび、練りからし、カレー粉。食べてはいけないというのは全部嘘です。今申し上げたものは、お腹を通って全部外に出てしまいますから安心して召し上がって」との御言葉に、みんな深くうなずく。

 

「いけないのは、唐辛子、一味、七味、キムチ等ですよ」

 

さらに
「朝一杯の水は正しいです。たくさんの水、大体1.5リットルは一日に飲んで下さい。ただし、朝の食事をとってから。水は食後ですよ。そうでなければ、おしっこになるだけですから。夕食後はもう寝るだけだからほどほどで。トイレで目が覚めますね・・・」

 

「アルコールは一ヶ月はダメです。〈すすきの〉から急な出血で運ばれてきた人が去年は2名いました」には一同大笑い。

 

その他、ドクターが忙しくてお伝えできなかったことをお話ししますということで、かの、全日本女子バレーのセッター竹下選手(過日引退を発表されましたが)バリの

師長さんは、時に厳しく、ビシッと指導してくれた。

 

そうそう、「肛門は綺麗にし過ぎないでください。滅多なことでは肛門は負けません。菌に強いのです。そういう風に出来ているのですから。痔の低年齢化は、赤ちゃんの時から清潔にし過ぎているのが間違いなく原因です。」とも。

 

なるほど、わたしにも思い当たるところが多々ある。

 

日本一の手術件数の意味もよくわかって来た。そして、特殊な手術方法を編み出し、追随をゆるさない、肛門科治療のリーダーである病院の自信に良い意味であふれていて、聴いていて壮快だった。

 

女性の患者さんからの質問で

「入院してから下痢が止まったんですがなぜでしょう。アルコールですか?」

 

「たぶん、ストレスがないからだと思いますよ。現代はストレス社会ですから」

 

「あー、主人です犯人は」に一同再び爆笑。

 

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退院まで数時間。実は、師長さんが来られるこの時間。最後にひと言、お伝えしなければと考えていたことがあった。

 

「詫び」である。

 

①~③でわたしとの思いがけない形でやり取りしていた看護師さんに、「あの時は、少し強く言いすぎてごめんね」というような事を伝えるべきかなとずっと気になっていた。時々、わたしの居た403号室にも来ていたが、どうしても声を掛けられなかったのだ。

 

師長さんと二人になり、少し講義関連のお話もした。最後に、「師長さん、別件なんですが・・・・」と切り出してみた。

 

すぐさま笑顔になった師長さん。手を大きく振りながら言われた。

 

「ぜんぜん、気にしないでください。本当にいい勉強になったんです」

 

「そうですか?」

 

「カンファレンスでも確認しましたが、森さんが、変な形で何かを言われるような方ではないと私たち受け止めていましたし、敢えて、お詫びには来させませんでした。本人も重々反省しています。あの時のやり取りに、患者さんの気持ちを聴く姿勢あった・・・・かと。私たちの勉強になるよい機会だったんです」(いやはや、オソレイリマス)

 

「じゃ、後はお任せいたします」とわたし。

 

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眠れない土曜日の深夜。午前2時22分頃。ナースステーションに痛み止めをもらいに行った。

 

静かだった。

 

かの看護師さんではなかったが「静かですねぇ」とわたしがひと言。

 

「今、やっと落ち着いたところです」とやや疲れた表情で応えてくれた。

 

夜勤は2名のようだった。

 

毎晩19時過ぎになると、“トントン”と部屋の扉をノックする音がする。「失礼しまーす、きょうお部屋を担当する看護師の○○でーす。よろしくお願いしまーす」と声を掛けてくださる。

 

それぞれの看護師さんの個性がすごく出る時間だと思っていた。

 

22時の消灯後から既に4時間以上。あれやこれやで駆け回って、おそらく、メモしたことの一つ一つを片付けるていくと、夜勤の方はすぐに2時を過ぎるのだろう。

 

あたりまえのことを当たり前になさっているのだろうと思う。とは言え、頭がさがった。その後も、3時、4時とラジオの時報が聞こえる頃に、懐中電灯が照らされて部屋を見回って居られた。

 

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退院の日。

 

わたしは昼食を済ませ、スーツケースに荷物をまとめ、じぬし専用の座蒲団を脇に抱え、ゴロゴロと引きながら2階のナースステーションに出向いた。

 

「たいへんお世話になりました」とひと言伝えた先には、いつものように、看護師さんたち10人程が、立ったまま肩を寄せ合って、細長まるのテーブルを囲んでミーティング中だった。たしか、あの看護師さんの後ろ姿もそこにあった。

 

これもいつもの風景なのだ。

 

「あっ、森さん」の師長さんの声を聞きながらわたしはエレベーターに向かう。Staffの皆さんの「お大事にしてください」の声が重なるようにして後ろから聞こえて来た。

 

わたしにとって、久しぶりに無所属の時間を過ごせた希有な1週間。神に感謝。end

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