②からの続きです(①②を先に読まないと???かと思います)
「こちらには、こちらの事情があるんでしょ、看護師さん!」と叫んだわたし。
そう叫びたくなる重ねての事情をご説明いたします。どんな事情か。
用が終わってからももちろん直ぐには立ち上がれない。“お便”が通過したお尻は水洗=ウオッシュレットすることになる。いやこの場合(手術を終え、最初の診察)、お便が通過していなくてもフツウ水洗を求められる。出血もまだまだありますしね。
ドクターに診て頂くと思えば念入りにという気持ちにもなる。これでさらに1分は掛かります。さらに、慣れないT字帯の紐を軽く結ぶ。そして、フックにぶら下げていた寝巻きを狭い部屋の中で身につけるということになる。
それだけではない。“じぬし”同士のトイレ使用のエチケットが記されているのだ。
「入院中でたいへんでしょうが、除菌スプレーで、便座と取っ手を拭きましょう」と。
というわけで、外に出てきたときには、当番医はどこかに行ってました。そりゃそうですな。当然です。
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不満顔の看護師さん。わたしを2階の(わたしは4階に入院)ナースステーションに案内しながら、わたしが努めて冷静に語るのを(端から見ればぶつぶつと言うオヤジに過ぎません)話を聞きながら「でもーっ・・」と反論してくる。
ナースステーション付近でついにわたしは言った。
「看護師さん、おかしいでしょ。お医者さん第一ではなく、入院患者さん第一なんじゃないの?術後最初の便だよ」「じゃぁ、士長(昔の婦長さんのことですな)にお話ください(自信ありげだったか、わたしに言われても困るぅー、なのか?)」
「・・・・」(無言のわたし)
しばらくの間、ナースステーション脇の別室・処置室に横になっていると、女医さんが姿を見せた。どうやら、回診に来られた執刀されたドクターは既に午前の手術に向かい、代わりの医師が顔を見せた模様。
「森さーん、いかがですかー。はーい、ちょっと傷口診ますねぇー。はーい、いいですよ」
最後に「痛み、我慢しないで言って下さいねぇ。お薬出しますから」と、部屋を出掛かった所で声を掛けられた。これは、何度も他のstaffから聞いた言葉で、暗記しました。
こちらはと言えば、幾つかの質問してみたいなぁ、確かめてみたなぁと思っていたことも聞けない。
もしもこの時、ドクターがベッドの脇に来て、「手術たいへんでしたね。でも、だいじょうぶですよーっ。“お便”も出てよかったですねぇ。順調です(ニコ)」だったら良かったかもねぇ。
いや、本当ですよこれ。
切られてからまだ24時間も経過していない。当然痛い。もしそこで、先生の笑顔とか、握手とか、「何かあったらどんなことでもいつでもお尋ね下さいね」のひと言が先にあれば、痛み半減、元気50倍ではなかろうか。
でも、患者は感じちゃうんだよなぁ。
「わたし(俺たち外科医)は、秒単位で働いていて、忙しいんですよー」という空気をですネェ。シクシク。
看護師さんも、(想像ですが)「ほーらね、もりさん。お忙しい先生を煩わせて。“お便”をモリさんがサッとしないから、こういうことになっちゃうでしょっ!お馬鹿さんね」と言っているように感じてしまうんだよなぁ、オイラには。
ドクターが去った後の処置室。わたしは何だか気持ちの持って行きようがないのと、お尻がまだまだ術後19時間程しか経過しておらず、痛いのもあってか、ボーッとしていた。
一方看護師さんは、「はーい、いいですよ。お部屋にどうぞー」と何事も無かったかのように、のたまう。
その声を聞いて思い出した。
あれ、あれ「師長にお話し下さい」と言っていた、かの件はどこに消えたのかしら、と、思い出してさらに“カチンコ”ときてしまったわたし(もう少し大人になれよと自分に語りかける)。
「(いいですよ、じゃないでしょ)看護師さんの方からボクに、師長にお話し下さいって言ったから待っているのにー」と伝えると、「そ、そうですか」と姿を消した。
待つこと30秒。姿を見せたのは“師長(婦長)”さんに次ぐ役回りの“リーダー”と名乗る看護師さんだった。はてさて、結末はいかに。続く end
※実に、意外な展開が待っておったのです、これが。次の④で本件は終了。ながながお付き合い頂いた皆さま、ドウモスミマセン。